千鶴夕登の日々雑談

夕登と沙樹由の会話形式で雑談をしているブログです。

夏コミ同人誌のサンプル

 夕登:今回は珍しく早めに完成しました。
沙樹由:本当に珍しいですね、理由はあれだけど。
 夕登:ゲームで遊びたくて頑張ったという事にしてください。そんな訳でサンプルの公開です。
沙樹由:前回は成人向けでしたが、今回は一般向けですね。
 夕登:なのでその辺り気にしなくて大丈夫です。サイズはA5で30頁、100円となります。
沙樹由:毎回これぐらい早く完成させたいですね。
 夕登:遊びたいゲームがあれば出来るかな?

処女宮二次創作「影響効果」サンプル

 私の一年で最も多い普通の日、もう目を閉じても行動が出来るかもしれないと思えるほど、同じ事を繰り返し、今日もこのまま終わりだと決めつけて、昇降口から校舎を出て寄宿舎へ向けて歩くと、偶然にも秋穂ちゃんと出会った。

「春菜先輩、放課後にこうして出会うのは、もう珍しくなりましたね」

 秋穂ちゃんにそう言われると、本当に何時以来なのか自分でも分からなくなる。
 ただ寄宿舎では、これまでと変わらず毎日会っているだけに、寂しいという気持ちを抱かなかったけど、改めて言われると、何処か以前よりも距離が開いてしまった様に感じた。

「今は校舎が違うからなかなか難しいよね、前なら図書室へ行けば会えたのに」

 これまでは学年は違っても、放課後になり、図書室へ行けば何時でも会う事は出来た。でも私は色々ありながらも、無事卒業をしたので別の校舎へと今は通っている。
 卒業をして校舎が変わっても制服は変わないので、こうして二人で話すだけでは以前と全く同じになるけど、校舎内で会えないというのはとても大きな変化なんだと、改めて実感した。

「来年には、私もそちらの校舎へ行けますから、そうなりますとまた同じですね」

 来年になれば秋穂ちゃんは卒業をして、私と同じ校舎へ通う事になる。そうすれば昨年までと同じになり、また図書室で会えそうだった。

「それでも、このみちゃんが残されるよね」

 ただそれだと、このみちゃんは残される事になる。まだ少しの寂しさは続いてしまうのに気が付いてしまった。

「今は、春菜先輩に会えない分、私の所へ来ますよ。主に勉強の事ですが」

 そんな私の気持ちを察したのか、秋穂ちゃんは私が見られない寄宿舎以外での様子を教えてくれた。

「あはは……そうなんだ、勉強は私より秋穂ちゃんの方が適任だからいいんじゃないかな?」
「それが……来て頂けるのは嬉しいのですが、今一つ、理解している様に思えないのですが……」
「確か前に、そんな事を言っていたな……」

 勉強に関しては、私よりも秋穂ちゃんの方が出来る。しかし教え方が上手く行かない様で、このみちゃんはなかなか理解出来ないと言っていた。
 それでも行くのだから、私が居なくても変わらずにいるのが分かり安心した。
 来年になれば秋穂ちゃんは卒業をして、私と同じ校舎へ通う事になる。そうなると、このみちゃんだけが残されてしまう。
 でも、このみちゃんは皆からの人気があるし、そんな心配をしなくても大丈夫だろうし、心配なら私から会いに行くのも良いかと思う。
 本当は相手に気を遣わせないためにも、自然に出会えるのがいい。
 敷地としては同じなので、もう少し会えても良い様な気はするけど、その辺り上手く行かない物を覚えた。

「そうだ、秋穂ちゃん。良かったらカフェテラスに行かない? 折角ここで会えたから、いつもと違う事をしない?」

 このまま寄宿舎へ帰ってもいいけど、偶然に出会えたのなら、その偶然に乗って違う行動をしてみたいと私は考えた。ただ、学院の敷地から外へは出られないし、良く会っていた図書室へ行くとなれば、秋穂ちゃんは道を戻らなければならない。
 それなら久しぶりにカフェテラスへ行き、ゆっくりするのも悪くない様に思えた。

「それは良いですね、時には少しの贅沢も良いですね」

 カフェテラスの値段は決して高くはないが、寄宿舎へ帰れば紅茶やお菓子があるのに寄るという所が、少しの贅沢となる。
 毎日行くのは難しいけど、こんな時ぐらい贅沢をして、自分で自分を労うのも日々の緊張が解れて良いと思う。

「あら、春菜さんと、二ノ宮さんがここで一緒なんて珍しいわね」

 その時だった、後ろから声がしたので振り向くと、そこには今も変わらず委員長をしている委員長さんが居た。
 丁度、私と同じ様に寄宿舎へ帰ろうとしているのは、見た感じからも分かる。

「そうだ、この後用事が無かったら、委員長さんも一緒にカフェテラスに行かない?」
「あなた達とカフェテラスねぇ……」

 私としては軽い気持ちで誘っただけなのに、委員長さんは私と秋穂ちゃんを交互に何往復も見て、明らかに警戒をしている。
 思い当たる事と言えば、ユキさんが居た時に少しあったのと、花の日の実行委員になった時に、ほんの少し困らせた影響からかもしれないと考えると、今更ながら反省をしたい。もう遅いかも知れないけど。

「ちょっとお茶の飲むだけだよ、他には無いもないよ」

 あえて口にすると余計に怪しくなる気もするが、私としては疑われたままのというのは気持ちの良い物でもないので、早く委員長さんの誤解を解きたかった。

「そうよね……何かが起こりそうな感じはしないし……」

 それでも委員長さんは考えている。今は特別な事情など何一つない。ユキさんの様に転校生はいないし、私も今は何かの役職に就いていない。
 つまり何か特別な事が起きるような要因は、何一つないと断言出来るし、そもそもそんな事は考えていない。秋穂ちゃんとここで出会ったのは本当に偶然でしかないし、委員長さんとも会えるなんて、予想すらしていなかったからだ。

「谷山先輩、もしこの後御用事があるのでしたか、無理をしなくても良いですよ?」
「無理……そうね、私も暫くカフェテラスへは行っていないから、久しぶりに行こうかな?」

 私の言葉では迷っていたのに、秋穂ちゃんの言葉であっさり決めたので、少し複雑な気持ちになるものの、委員長さんも一緒に行く事へ決まったのは嬉しかった。
 秋穂ちゃんと二人だけというのも良いけど、久しぶりというのもあり、三人の方がもっと楽しくなる予感をしていたからだ。