千鶴夕登の日々雑談

夕登と沙樹由の会話形式で雑談をしているブログです。

冬コミ同人誌のサンプル

 夕登:冬コミの新刊が完成しましたので、サンプルを公開します。
沙樹由:今回は一般向けで、A5、24頁、100円となりますね。
 夕登:しかし完成して良かったよ……まだサークルチェックとかは全然だけど。
沙樹由:それもまだありましたね。
 夕登:新刊なくて御免なさいにならないのは良かったよ。

冬コミ新刊「手の届く世界」サンプル

 出会いは突然やって来ると言うけれど、私にまで訪れるなんて思いもしていなかった。
 突然の出会いが訪れたのは終業式も近づき、気持ちは既に冬休みへと移り、帰省をしたら、日頃縛られている感じを受ける寄宿舎生活から、解放されようと決意を固めていた時だった。
 遥か先へ想いは行っている時に、一度目の出会いをした。しかしそれはではまだ半分でしかなく、惹かれるまでとはならない。
 だがもう半分を実家で見付けた時、運命としか思えなくなってしまう。
 寄宿舎と実家で出会った物を一つにした時、私の部屋に新たなる世界が誕生した。

「寄宿舎の大掃除で倉庫整理担当になった時は、外れを引いたと思ったけれど。あなたと出会う為の大当たりだったのね……」

 私の部屋へとやって来た天国ともいえる存在は愛おしくて、私は頬ずりをする。

「ああぁぁ〜〜お姉ちゃん。本当に気持ち良いよね……もういくらでも寝られるよ……一日中一緒にいたいよ……」

 このみちゃんもまた、私同様に天国の住人となってしまった。初めこそ物珍しさだったが、使用した直後に魅了されてしまい今は猫の様で可愛い。

「本当にそうだよね、お布団よりも気持ちが良い物がこの世に存在しているなんて信じられなかったよ、しかも昔からあるなんてね」

 特に寒い日の布団は最強だと思っていたけど、今は更に上の存在を知ってしまい、もう後戻り出来なくなっている。

「二人共、すっかり離れられなくなりましたね」

 私達は四角いテーブルを囲っている。
 部屋の入口から遠い窓際の位置に私は座り、左にはこのみちゃんが肩まで入り寝ていて。そして向かい側には秋穂ちゃんが居るという配置になっている。
 折角三人で集まっているというのに、私達は特に何もしていなく、ただ時間だけが過ぎている。
 今は、こうしているのが遊ぶのと変わらないまでに楽しい一時となっていた。

「こたつがこんなに素晴らしい物なんて、思いもしなかったよ……まさに奇跡の出会いっ!」

 私が大掃除で寄宿舎の倉庫整理をしていて発見したのは、こたつだった。
 寄宿舎は全室エアコンが完備されているので、こたつの必要性は感じられず誰の物なのか、そもそもどうしてあるのか分からない。
 綺麗な状態であった事から、もしかしたら誰かが入舎する際に持って来たものの、エアコンがあるので使用されず倉庫行きへとなり、やがて忘れ去られたのだと考える。
 特別見つかり難い場所にあった訳でもなく、これまでの大掃除でも誰もが気が付いていたはずなのに、動かした様子も無く置かれていた事から、興味を持つ人もこれまでいなかったと思われる。
 結局舎監の先生に問い合わせても持ち主は分からず、誰も欲しがらない物。そんな印象を抱いた。
 私も同じく始めは気にしないでいたけれど、こたつというのを今まで使用したことが無く、自分の部屋のテーブルとして使えばいいと考え、舎監の先生から許可を得て持って来た。
 置いてみると大きさは丁度良く、見た目も綺麗な事から不満など無く普通に使用し、直ぐ部屋の一部として違和感は無くなった。
 しかし私が帰省した時、事態は大きな変化を迎えてしまう。実家でこたつ布団と下に敷くカーペットを発見してしまったからだ。
 実家もエアコンを完備しているので、こたつを使用する必要はない。しかし設置する前には使用しており、今も捨てずに残されていた。
 布団とカーペットを使えば、私の部屋にあるこたつは、本来の姿として蘇る。必要性はないが、つい惹かれてしまう魅力もどこかにある。
 過去に読んだ小説の中には、こたつの素晴らしさを書いたものもあった。しかし使用した事がない私からすると、エアコンの方が明らかに優れているとしか思えなかった。
 部屋全体を温めてくれるエアコンに対して、足元のみのこたつ。
 考えるまでも無く、部屋を自由に移動できるエアコンの圧勝としか言い様が無かった。
 だが現実として、こたつは今の時代でも無くなっていない。もしかしたら実際に使用しないと分からない魅力があるかも知れない。
 こたつ本体、下に敷くカーペット、そして布団。三つが合わさる姿を私は知りたくなり、実家から寄宿舎へ送り、ついに完全体としての姿を現した。